平成二十三年十二月号
姉小路界隈の近況ご報告

1. 街なみ環境整備事業のご報告

第16号でもご紹介いたしました鳥本秀夫氏の新居が、姉小路通富小路西入南側にまもなく完成します。氏は「これからの高齢化社会では、郊外の広い家よりも都心居住がいい。都心は大勢の人が集まるので商売には適しているが、環境的には、自動車公害など居住に適さない面もある。しかし、姉小路界隈では、そこに居住している人達が、その優れた生活環境を将来にわたって維持していこうと、皆で協力しあっている。その協調性や文化力が気に入って、この地を購入し、住居新設を決心した」と語っておられます。

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▲ 鳥本邸完成予想図

「姉小路界隈町式目の精神」を実によくご理解され、建物の用途やデザインについて、幾度となく事前協議を当会と重ねて戴いたことを、ここにご紹介致します。また、当会が十年間の予定で進めている街なみ環境整備事業の14件目の物件として、界隈の美装化にも大きく貢献することとなりました。近くにお越しの際は、ぜひとも、美しいファサードをご鑑賞頂きたく、ご案内いたします次第です。

2. 通りの景観を考える(〜姉小路の現場から〜)

「京都の都心部では、その環境を良くする為の地域の様々な人々の活動が見られます。中でも、最も京都らしさが残る地域の一つとして、今後とも京都らしさを守ろうとしている地域(姉小路)について、その通りの文化を学び、現場を見ることで京都らしさを発見しましょう」と、京都市立芸術大学の藤本英子先生が、環境デザイン研究室の2回生25名を連れて、10月24日に来姉なさいました。

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▲ 京都市立芸術大学の環境デザイン研究生達

与えられた4つの課題、「(1)姉小路のまちづくりの歴史について学び、地域の活動に貢献する提案を行う。(2)現場の様子を観察し、問題点を発見する。(3)環境の中の色彩の役割に気づき、地域の色彩を読み取ると共に、問題解決の方向性を示す。(4)提案を分かりやすい表現でまとめる」に対して、新聞紙一枚大のケント紙に、若い感性あふれる提案が寄せられました。この提案を皆様にも是非ご覧戴いて、ご意見を賜りたく存じます。

3.地区計画制度実現にむけての、進捗ご報告

昨年度末より、姉小路界隈を考える会が主体となり「地区計画制度」の導入準備を進めています。姉小路通を軸に、東西は寺町通から烏丸通、南北は御池通から三条通までの区域において、落ち着いた町並みと京都らしい品格を維持する為の方針を、「(1)静かで落ち着いた住環境を守り育てるまち。(2)お互いに協力しながら、暮らしと生業と文化を継承するまち。(3)まちへの気遣いと配慮を共有し、安全に安心して住み続けられるまち」の様に考えております。

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▲ 地区計画制度検討の定期会合の様子

このような界隈の特性は、京都のまちなかにあって非常に貴重なものといえ、この落ち着いた風情を守る為に、一部地区では建築協定が締結され、風俗店等は規制されています。しかし、建築協定地区外では、木屋町通等の賑わいの外延化 及び 商業施設立地の活発化などにより、アダルトショップやゲームセンター等の、界隈にふさわしくない店舗の進出も懸念されております。現在、二度目のアンケートを各戸にお願いしており、改めて、年末までに地権者の意向を確認する手筈となっております。

姉小路界隈まちづくり委員会(仮称)による地区計画制度の実現にむけての会合には、12ブロックの各ご町内からもご参加戴き、大きな関心を示していただいています。世話役様のお骨折りに、誠に感謝しております。次回の会合も、12月20日(毎月第三火曜日)の19時より、中京酒販売組合の1階会議室で行います。この制度の実現への取り組みは、柳池元学区 及び 初音元学区の両方にまたがる、京都市都心部における初事例として、各方面からも注目されていますので、皆様には、より一層のご協力をお願いしたいと考えております。

(事務局長:谷口親平)