京の街角 姉小路界隈ヨリ 30号

京都御池中学校校長 廣瀬 忠愛氏 近影

巻頭言

まちづくりと学校

京都御池中学校校長 廣瀬 忠愛 

姉小路の活動に感銘    生徒の参加、嬉しく

昨年四月に京都御池中学校に赴任し、一年が過ぎようとしています。当初は、学校のこと、生徒の様子、地域性など、ほとんどわからないまま、次から次へと行事や教育活動が押し寄せ、また、毎日が千客万来で、来られた方と学校との関係を把握するのに精一杯で、どんどん時間が過ぎていくという感じでした。

このような中、市古さんと谷口さんが学校にお見えになり、「姉小路界隈を考える会」についてご紹介していただきました。会の性質や活動について、誤解されないように非常に気を遣われてお話をされているのが印象的でした。お話をお聞きして「まちづくり」や「景観保護」に真摯に取り組んでおられる様子が十二分に伝わり、大変感銘を受けました。

そして、これらの取組の一端として、京都御池中学校の生徒が美術の授業の一環として「行灯づくり」に、また、本校の吹奏楽部が「パレード」に参加し、演奏させていただいたり、地域の活動に子どもたちが活躍できる場をつくっていただいていることをお聞きし、子どもの教育にとっても大切なことだと思うと同時に、校長として大変嬉しく思いました。

青少年の犯罪や事件    人間関係構築に原因

京都市内の六十四の学校は、明治の町衆の 「かまど金(寄付金)」によって、造られた学校です。そして、本校はその一番最初に造られた学校であり、地域の人たち(町衆)の「学校づくり」=「人づくり」への情熱、子どもの教育に対する熱い思いが、込められた学校です。地域の方々のこの情熱や思いが、今でも脈々と受け継がれ、地域の学校として大事にされ、様々な形で子どもの教育に参画していただいております。

現在、テレビや新聞などで、青少年の犯罪や事件に巻き込まれ被害にあうニュースを多く目にします。これらの原因(要因)は複雑で、一言では語れないと思いますが、人間関係の構築に問題があると考えます。

昔は、ご近所の人と人とのふれあいや地域の人と人との関係がしっかりしており、子育てに非常によい関係ができていたと思います。しかし、今の時代は、人間関係が希薄な社会・地域であり、人間関係づくり(コミュニケーション)が上手く築けない人が増えています。これらの状況が、今日の青少年の事件に深く関係していると思います。

コミュニティ創造で解決を

この問題を解決していくには、学校や地域で、また、双方が協力して、人間関係の構築につながる取組、人と人とがふれあう場を意図的に作る必要があります。いわゆるコミュニティーの創造であります。

この京都御池中学校の校区には、自治町内会連合会をはじめ、多くの地域の諸団体や市民団体の方々が、地域コミュニティーの活動をされておられます。それぞれに課題は沢山あると聞いておりますが、それぞれの取組は、確実に地域に広がり、多くの人々のふれあいの場になり、子どもたちの教育に大きく影響しており、その成果を実感しております。

姉小路界隈の人々が貢献

「姉小路界隈を考える会」の皆様方の活動は、人と人とがやすらぎ、憩えるまちづくり、そして、景観保全などに大きな実績を残しておられますが、それとともに、人と人とがふれあい、姉小路界隈の人々や来られる方々の良好な関係が構築できる環境づくりにも、貢献されておられることに気づかされました。

今後も「姉小路界隈を考える会」の皆様方のますますのご活躍とご発展をお祈り申し上げるとともに、地域の学校、京都御池中学校に更なるご支援とご協力をお願い申し上げます。