京の街角 姉小路界隈ヨリ 34号

京都市長  門川 大作氏 近影

巻頭言

知恵を尽くした たゆみない取組

これまでのお取組によって、今回の栄誉に大きな御貢献をいただいた皆様が、今に決して満足することなく、次なる挑戦を始めておられることも誠にありがたく、心強い限りです ─

京都市長 門川 大作   

掃き清められた道、趣のある老舗のお店や京町家、玄関前にさりげなく置かれた彩りの美しい花々…。姉小路界隈を歩き、そうした風景を目にする度、私は地域の皆様の温かなおもてなしの心を感じ、深い感銘を受けます。 昨年、世界的に大変大きな影響力を持つアメリカの旅行誌「トラベル・アンド・レジャー」誌の読者投票で、京都が人気都市世界一に選ばれました。京都ならではの景観やおもてなしが高い評価を得た、と聞き及んでいます。まさに、皆様にはこれまでのお取組によって、今回の栄誉に大きな御貢献をいただいたと思っています。改めて、深く感謝申し上げます。

御活動に、頭が下がる思い

さて、本年で「姉小路界隈を考える会」は設立20周年を迎えられます。「姉小路界隈町式目(平成版)」、さらに、建築協定や地区計画といった独自のルール作り。新築も含め、26軒もの修景事業に取り組まれた、10年に及ぶ「街なみ環境整備事業」をはじめとする、着実な行動実践の数々。そのように、皆様が地域への愛情と誇り、そして、風情溢れる町並みを守り育てていくとの高いお志を持って、長年にわたり重ねてこられた御活動に、私は本当に頭が下がる思いを致しております。

この度の「住まいのまちなみコンクール」で国土交通大臣賞の御受賞が決まり、皆様がお取組の歴史に、また一つ輝かしい足跡を刻まれたことを、私としても大変嬉しく思っています。心からお祝いを申し上げます。

同時に、地域の素晴らしい建築物を「京都を彩る建物や庭園」へ積極的に推薦いただき、また「地域景観づくり協議会制度」の活用により、地域に新たに入られる方々と活発に意見交換されるなど、皆様が今に決して満足することなく、次なる挑戦を始めておられることも誠にありがたく、心強い限りです。

より良い地域づくりを積極的に担う人材へ

毎年、皆様には夏の行灯会にお招きをいただき、6百基もの行灯の光が生み出す豊かな風情を満喫させていただいておりますが、そこでは、中学生の皆さんのブラスバンド演奏や、幼稚園児の皆さんによる盆踊りなど、多くの子どもたちの姿も拝見します。次代の主人公である子どもたちが、そうした機会に、皆様のお志と行動を間近に見て学ぶことは、極めて多いと思います。そして、その経験を糧に、これからのより良い地域づくりを積極的に担う人材へと、大きく成長を遂げてくれるものと確信しています。

本年は、節目の年を記念するシンポジウムを企画されるなど、熱意に満ちたお取組を一層力強く進められると伺っています。本市といたしましても、しっかりと支援してまいります。そして、引き続き皆様と共に知恵と力を合わせて、国内外の多くの人々から愛され、あこがれを持って見つめられる、魅力溢れる京都のまちづくりに全力を尽くしてまいります。今後も、どうぞ御支援・御協力をお願い申し上げます。

結びに、「姉小路界隈を考える会」の皆様の今後ますますの御活躍、また貴会が30周年、40周年、更にその先の未来へと、地域と共に一層の御発展を遂げられますことを、心から祈念いたします。

行灯会でのブラスバンド演奏